[執筆]きんぎょ生活 No.4 長洲観賞魚競売場・ジャンボ獅子頭のコラムを執筆

アクア雑誌社 エムピージェイより依頼があり、きんぎょ生活 No.4に長洲観賞魚競売場とジャンボ獅子頭に関する記事を執筆しました。

きんぎょ生活は年に1度発行される金魚専門書です。

 

 

 

下記は、私が執筆したきんぎょ生活 No.4に掲載された文章の原文。

実際には少し省略されています。

 

●長洲観賞魚競売場
長洲観賞魚競売場は熊本県玉名郡長洲町梅田590番地にあり、福永誠二氏が運営されている。
長洲観賞魚競売場は50年近く前から開催されている由緒ある競売場である。
競売は年間をとおして開催されており、一月と二月は第二木曜日の月一回、三月から十一月は第二、第四木曜日の月二回、十二月は第一、第三木曜日の月二回行われる。
当日券は8,000円。年間入場券は、26,000円。見学は自由。
出品数は約250舟。(出品は舟単位)時期によって前後する。
競売開始時間は午後一時から。競売に参加される方はおいしい賄いもでる。
出品される主な品種は、九州金魚の代表であるジャンボ獅子頭をはじめ、隼人錦、隼人和金、黒らんちゅう、ブリストル朱文金などの変わりだねから、小琉、オランダ、丹頂、東錦、錦鯉、変わりメダカなどの定番魚の出品もある。
出品魚は日本中から集まり、どなたでもで出品することは可能。業者だけではなく個人ブリーダー・愛好家の方の出品も受け付けている。

●ジャンボ獅子頭

ジャンボ獅子頭は、長洲観賞魚競売場の先代である村木甚太郎氏が約20年前(平成10年頃)に作出された品種である。ジャンボオランダという名称でも流通するが九州ではジャンボ獅子頭が一般的だ。
交配経緯であるが、村木氏曰く系統としては純粋なオランダ獅子頭であり、他品種との交雑はしていないとのこと。よく、オランダ獅子頭と和金の交雑種であるという記事を見かけるがそれは間違いである。
ではなぜ、純粋なオランダ獅子頭が他種との交雑なしにジャンボ獅子頭といわれるほど大型の品種と成り得たかという秘密であるが、一般的なオランダ獅子頭を繁殖した際に現れる長手の個体を選別し成長させ、成魚となったときに特に大型になる個体を交配に使用したとうのが史実である。
何代も同じ工程を繰り返し、特に村木氏は「魚の長さ」にこだわって交配させたとおっしゃられていた。
ここでいう「魚の長さ」単に長手というだけではなく「大きくなる」という意味も含まれている。
金魚は一年で成魚となり、二年目には繁殖に使用できるが逆を言うと年に一度しか交配するチャンスがなく、ジャンボ獅子頭作出にはかなりの歳月がかかった。
そして完成型となったジャンボ獅子頭は村木氏が九州の生産者に分配し、九州で多く生産される至りとなった。
村木氏曰く、「ジャンボ獅子頭は本来素赤の魚」らしい。
それは作出経緯の中で使用したオランダ獅子頭の長く大型になる個体は素赤しか現れなかったからだ。
村木氏は当時、色柄には全くこだわらず「魚の長さ」に兎に角こだわり交配を続けた結果、素赤の個体しか存在しなくなってしまった。だが現代には、更紗のジャンボが存在する。
それはなぜかというと更紗柄のジャンボ獅子頭を望むお客の声が多く、後発的に更紗のオランダ獅子頭を交配させ作出されたとのことだった。大型のジャンボ獅子頭に素赤の個体が多く見られるのは、やはりあとから交配させた更紗のオランダ獅子頭の遺伝子より、もともとの素赤のジャンボ獅子頭の遺伝子が強いからだろうと推測できる。
しかし今では、生産者の努力とジャンボ獅子頭の一般の愛好家・ブリーダーが増えたことにより、
良型のジャンボ獅子頭を競って生産されるようになり、更紗でも大きくなる個体が多くみられるようになってきた。
また東錦タイプ、桜東タイプ、青文魚タイプ、三色タイプのジャンボ獅子頭も生産されている。